| 痛みの話
1、 痛みの発生
痛みとは、痛みを起こすような刺激が神経を興奮させ脳に伝達することによって痛みとして認識されるのです。
一般的には、組織を損傷したときに痛みを感じますが、その際には、発痛物質が組織より出され、その物質が痛みを伝える神経を興奮させるのです。発痛物質とは、痛みを起こしたり、痛みを増強させたり、
その他炎症に関わる物質のことを言います。 つまり、組織に損傷がない状態であれば、痛みを伝える神経は、活動することはないが、ひとたび発痛物質が放出される状態になれば、その神経の感受性を高めることとなり、痛みとして認識されることになるのです。
痛みの感じ方は、個人が持っている痛みに関する経験や痛みを生じる環境などにより大きく左右され、個人差があるものです。
2、 痛みのからだへの影響
痛みは、脳に伝わり、単に痛みの知覚、認識にとどまらず、精神的にも影響を及ぼす。不快、いらだち、不安、恐れ、緊張、鳴咽感、救済願望、悲哀、憎悪、絶望、そしてさらにうつ状態を引き起こす。
原因もわからず、急に起こった痛みでは、不安感や恐怖感が、長く続く痛みでは、イライラして物事に集中できなくなったり、怒りっぽくなったり、落胆、無気力、絶望感をもつようになる。
痛みはこのような精神面への影響を介して、さらに自律神経系、内分泌系、免疫系、運動系などに反応が現れるようになる。(痛みは、ストレスの中に含まれるものであり、ここにあげる反応の多くが痛み以外でのストレス時に起こるものといえる)
痛みによる影響を具体的にあげてみましょう。
- 痛みは、大脳では、前頭葉(大脳の前側に位置する)にも投射されます。ここは、思考をつかさ どるところであり、痛みがここに伝わることにより、物事を考えにくくしてしまいます。そして、精神面においては、集中力を欠くことにもなり、仕事や勉強などに障害となります。
- 痛みの情報の一部は、大脳基底核へ送られるが、ここは運動調節に重要な核であることで、 運動調節にも影響を与えることになる。具体的には、無意識下で行われる運動への影響であるが、起立した姿勢の保持や歩行などに支障が起こるということである。
- 循環系反応として血圧上昇、時にはショックで血圧低下を起こす。
- 消化器系反応として、食欲不振・減退、消化不良が起こる。
- 内分泌系では、ホルモン異常による血圧上昇、性ホルモン分泌異常による性欲減退や糖尿病の悪化を生じやすい。また、内分泌系の変化を介して、免疫系の低下をもたらす。
- 痛みによる安眠妨害で睡眠不足や体内の日内リズムを狂わすことになる。
このようにみてくる限り、痛み、症状を「我慢できる範囲だから」と放置しておくことが、結果として 症状を悪化させたり、新たな症状をうんでしまうということがわかります。
3、 心理的要因が痛みに与える影響について
次に、不安、恐怖、怒りなどといった心理面が痛みに与える影響をあげてみます。
- 痛みの誘発−これを経験する人も多いと思いますが、例えば学校や会社に行きたくないと思っていると本当に体調を崩してしまったりすることです。
- 症状の回復遅延−ストレスをかかえやすく、悲観的な人では、回復が遅いとされています。
- 痛覚過敏−痛みに対する耐性が低下します。
こうしてみてくると、精神面と痛み、症状との関係が深いことがうかがえます。
症状を早く改善させるには、不快、不安といったストレス要因を取り除き、リラックスさせることが
大事であることがわかります。
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